高次脳機能障害

障害等級

1級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
(給付基礎日額の313日分を年金として支給)
2級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
(給付基礎日額の277日分を年金として支給)
3級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
(給付基礎日額の245日分を年金として支給)
5級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(給付基礎日額の184日分を年金として支給)
7級
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(給付基礎日額の131日分を年金として支給)
9級
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
(給付基礎日額の391日分を一時金で支給)
12級
局部にがん固な神経症状を残すもの
(給付基礎日額の156日分を一時金で支給)
14級
局部に神経症状を残すもの
(給付基礎日額の56日分を一時金で支給)

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、主に頭部外傷、脳血管疾患、低酸素血症等の脳に何らかの損傷を受けたことが原因で、記憶障害、注意力障害、遂行機能障害、社会行動障害、認知障害等の多岐にわたる症状を呈する後遺障害のことをいいます。

医学的事項等

1 評価の着眼点

 高次脳機能障害は、4能力に係る喪失の程度により評価を行う。評価を行う際の要点は以下のとおりである。


(1) 意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
職場において他人とのコミュニケーションを適切に行えるかどうか等について判定する。主に記銘・記憶力、認知力又は言語力の側面から判断を行う。

(2) 問題解決能力(理解力、判断力等)
作業課題に対する指示や要求水準を正確に理解し適切な判断を行い、円滑に業務が遂行できるかどうかについて判定する。主に理解力、判断力又は集中力(注意の選択等)について判断を行う。

(3) 作業負荷に対する持続力・持久力
一般的な就労時間に対処できるだけの能力が備わっているかどうかについて判定する。精神面における意欲、気分又は注意の集中の持続力・持久力について判断を行う。その際、意欲又は気分の低下等による疲労感や倦怠感を含めて判断する。

(4) 社会行動能力(協調性等)
職場において他人と円滑な共同作業、社会的行動ができるかどうか等について判定する。主に協調性の有無や不適切な行動(突然大した理由もないのに怒る等の感情や欲求のコントロールの低下による場違いな行動等)の頻度についての判断を行う。

障害等級認定基準

 高次脳機能障害については、意思疎通能力、問題解決能力、作業負荷に対する持続力・持久力及び社会行動能力の4つの能力(以下「4能力」という。)の各々の喪失の程度に着目し、評価を行うこと。その際、複数の障害が認められるときには、原則として障害の程度の最も重篤なものに着目して評価を行うこと。たとえば、意思疎通能力について第5級相当の障害、問題解決能力について第7級相当の障害、社会行動能力について第9級相当の障害が認められる場合には、最も重篤な意思疎通能力の障害に着目し、第5級の1の2として認定すること。


 ただし、高次脳機能障害による障害が第3級以上に該当する場合には、介護の要否及び程度を踏まえて認定すること。


 また、以下に掲げた高次脳機能障害に関する障害の程度別の例は例示の一部であり、認定基準に示されたもの以外の4能力の喪失の程度別の例については、別添2「神経系統の機能又は精神の障害に関する医学的事項等」(以下「別添2」という。)の別紙「高次脳機能障害整理表」を参考にすること。
 

 なお、高次脳機能障害は、脳の器質的病変に基づくものであることから、MRI、CT等によりその存在が認められることが必要であること。


 また、神経心理学的な各種テストの結果のみをもって高次脳機能障害が認められないと判断することなく、4能力の障害の程度により障害等級を認定すること。


(注)

1 高次脳機能障害とは認知、行為(の計画と正しい手順での遂行)、記憶、思考、判断、言語、注意の持続などが障害された状態であるとされており、全般的な障害として意識障害や認知症も含むとされている。

2 4能力を評価する際の要点については、別添2の第1の1を参照のこと。

3 認定基準に定める4能力の喪失の程度と「高次脳機能障害整理表」に定める4能力の喪失の程度との関係については、別添2の第1の2を参照のこと

4 神経心理学的な各種テスト等の検査結果は臨床判定の際の有効な手段であるが、知能指数が高いにもかかわらず高次脳機能障害のために生活困難度が高い例がある。


(ア) 「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級の3とする。
以下のa又はbが該当する。
a 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの

b 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの


(イ) 「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」は、第2級の2の2とする。
以下のa、b又はcが該当する。
a 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの

b 高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの

c 重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの


(ウ) 「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの」は、第3級の3とする。
以下のa又はbが該当する。
a 4能力のいずれか1つ以上の能力が全部失われているもの
(例)
1 意思疎通能力が全部失われた例
「職場で他の人と意思疎通を図ることができない」場合
2 問題解決能力が全部失われた例
「課題を与えられても手順とおりに仕事を全く進めることができず、働くことができない」場合
3 作業負荷に対する持続力・持久力が全部失われた例
「作業に取り組んでもその作業への集中を持続することができず、すぐにその作業を投げ出してしまい、働くことができない」場合
4 社会行動能力が全部失われた例
「大した理由もなく突然感情を爆発させ、職場で働くことができない」場合)

b 4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの


(エ) 「高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの」は、第5級の1の2とする。
以下のa又はbが該当する。
a 4能力のいずれか1つ以上の能力の大部分が失われているもの
(問題解決能力の大部分が失われている例
「1人で手順とおりに作業を行うことは著しく困難であり、ひんぱんな指示がなければ対処できない」場合)

b 4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの


(オ) 「高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの」は、第7級の3とする。
以下のa又はbが該当する。
a 4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの
(問題解決能力の半分程度が失われているものの例
「1人で手順とおりに作業を行うことに困難を生じることがあり、時々助言を必要とする」場合)

b 4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの


(カ) 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級の7の2とする。

高次脳機能障害のため4能力のいずれか1つ以上の能力の相当程度が失われているものが該当する。

(問題解決能力の相当程度が失われているものの例
「1人で手順とおりに作業を行うことに困難を生じることがあり、たまには助言を必要とする」場合)

(キ) 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12級の12とする。

4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているものが該当する。

(ク) 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの」は、第14級の9とする。

MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷のあることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるものが該当する。